テキスト ボックス: 埼玉名勝唱歌 
明治四十三年十二月 作詞 藤井治助

西なる停車場東武線 又もやかりる汽車の便    かりる=利用する
武里停車場横に見て 進めば見ゆる桃林     桃林=車窓より見る大袋付近の桃林
花期の眺は殊更に こヽは桃の実産地なり     桃の実産地=味の良さと甘みの強さで評判だった
宮内省の御猟場は 大沢駅の西と聞く      大沢駅=大沢町の駅 越ヶ谷駅
鉄橋渡れば越ヶ谷町 是又繁華の一市街      鉄橋=元荒川にかかる鉄橋
区裁判所のある処 糯米産地世に高し      区裁判所=軽微な事件の第一審裁判所
昔しは幕府将軍の 膳部に上りし糯米は      糯米=もちごめ
多く此地の取れりと云ふ 其良種なる思ふべし  良種=太郎兵衛もち
早稲に名高き蒲生村 過ぬる明治九年頃      明治九年=明治天皇東北巡幸の年
今上東巡ましませし 時挿秧の真盛り      挿秧=そうおう 田植え
車駕を駐めて上覧の 栄を賜ひし処なり      車駕=しゃが 行幸時に天皇が乗る車
蒲生の東北名所には 大相模の不動尊      大相模不動尊=各地から参拝客が絶えず
進む列車のいと早く 新田駅を横に見て 
やがて迎ふる草加町 是より先は東京府     東京府=東京都の前身